車がなんとか入っていける細いデコボコ道の先に、
大きな山を背にあらわれるパン工房「野路」。
大きな白い犬が2匹と、ほんわかしたご夫婦が笑顔で出迎えてくれました。
いざ、お話を伺ってみると、パンの話というよりも「死生観」の話へ...。
しっかり「生きている」ことを噛み締めて暮らすことが、
野路のパンの隠し味になっているような...。
ぜひ、お二人のお話を味わっていただければと思います。
「野路」さんのプロフィール
桐生で「チャツネ」というパン屋を休止し、一年山小屋で働いた後、
ご夫婦二人でパン屋「野路」で活動を再開させる。
工房を始め、薪窯まで全てご自身で作るところから始める。
「日々はまるごとパンになる」という言葉を掲げ、
日々の暮らしを大事にしながら、夫婦でパンを焼いています。
⇨野路
(前回の記事はこちら⇩)
「日々はまるごとパンになる」という言葉について
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野路さんのホームページにあった「日々はまるごとパンになる」という言葉。
あれはどのように生まれたんでしょうか。
野路 あやさん:
実は「野路」を始める前の「チャツネ」でパンを作っている時は、
設備も揃ってなくて、本当に忙しかったんです。
パンを作るために食事や生活を削ってしまって、
「暮らし」を楽しめていなかった。
ゆったりと二人で美味しいものを一緒に食べて、おいしいね。って言い合える余裕がなかったんです。
そういう状態で、一旦「チャツネ」を閉めて暮らしを整えることにしました。
野路になってからは、地に足が着いたというか。日々の暮らしの中で楽しくパンを焼かせてもらっています。
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野路のお二人への考え方、暮らし方へのメッセージをパンにこめているんですね。
野路 あやさん:
そうですね。私とのぶが焼くというのがパンの一つの材料になる感じです。
野路 のぶさん:
日本には沢山のパン屋さんがありますが、その中でお客様が選ぶ理由の一つに 「作り手の在り方」があると思うんです。
食べ物として味が美味しいという事ももちろん大切なのですが、それと同時に
もの作りの中で生まれるストーリーや、作り手の考え方などに共感してもらえる方が
手にとって頂いている感覚があります。
「縁」をコツコツ積み上げていけば、きっと大丈夫。
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今では工房を構えて営業をされていますが、
開業当時はどのようにされていたんですか?
野路 あやさん:
車を使って売りに行っていましたね。
いわゆる引売りのような感じでした。
その当時のお客さまが、桐生で「チャツネ」として店舗になってからも来てくれて、
その後、「チャツネ」を休んで「野路」になってもまた気にかけてくれて。
パンを通して10年前くらいから頂いたご縁が、
今に至るまで一個一個広がっていったような気がしますね。
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そういうきっかけを作るために、自ら話しかけるタイプってことでしょうか?
野路 あやさん:
あぁ、私はすぐに話しかけに行っちゃいますね笑
この前も桜の木を切っている方に、
(薪窯に使うために)この木が欲しいです。と話しかけたら、
家に蓄えてあるやつも取りに来ていいよー!って言ってもらったりとか。
ー
そういう出会いがたくさんあって今があるわけですね。
野路 あやさん:
確かに、出会いをコツコツと積み上げて、今があるかもしれません。
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その状態だと、結局どの商売をやっていても、
「縁」があるから大丈夫という状態になれそうですね。
野路 あやさん:
そうかもしれません。
どんな形であれ、
ご縁があった方々に支えられて、今の私達があります。うん。それってすごくありがたいことですよね。
(終わります。)