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つくばに住んでいる人の日常に「アート」が寄り添えるように。|ネオつくばプロジェクト 山中周子さん インタビュー 第四回

茨城県のつくばエリアを盛り上げるために、筑波大学と地元のアーティスト、そして地元の方々を巻き込みながら、
アートイベントを開催し続けている山中周子(やまなかのりこ)さん。

彼女の幼少期の憧れの街「つくば」を、アートで元気にしたい!という情熱を、成し遂げようとしています。
しかも、彼女は男の子三人を育てているバリバリの現役育児ママ。
平日は週5で県内にある中学・高校の美術の非常勤講師も務めるなど...

なぜ彼女はこんなに仕事も育児も頑張れるのか。
また、つくばの外部の人が、地元の人に馴染むために何を行ってきたのか。

なにより「アート」というカテゴリで、人を巻き込む方法ってどうやるの?

パワフルにやりたいことを実現していく山中さんのお話からは、
「自分の価値観を作り上げていくためのヒント」がたくさん散りばめられていました。

ネオつくばプロジェクト 山中周子さんのプロフィール

女子美術大学卒業後は繊維を素材とする造形作家として活動を続け、越後妻有トリエンナーレ、琵琶湖ビエンナーレなどに参加。
アートが地域活性の重要な役割を持つことを肌で感じる。

その後、筑波大学で教員免許を取得後、東京・木場のアートギャラリーに勤務し、国内外のアートフェア等へ参加。
現在は、三人の子供を育てるながら地元茨城県八千代町在住。公立高校美術非常勤講師も務めながら、つくばエリアを起点としたアートと人をつなぐプロジェクトとして「合同会社ネオつくばプロジェクト」を設立。
インディペンデントキュレーターとして活動中。

→ネオつくばプロジェクト

■アートを通して「筑波山を登った」と言う実感。

左・インタビュアー酒井 右・山中周子さん

・インタビュアー酒井
山中さんのように、常に色々なことを仕掛けていこうとするバイタリティの源ってどこから来ているんでしょうか。

・山中さん
「思いつき」ですかね。
ネオつくばプロジェクトを始めてから、始めてつくばの山間部の文化を知ることができて、
さらにその先には「筑波山」があるって気づいてから、
「あの山頂まで行かなきゃ!」
って思うようになったんですよね。

私が関わらせていただいたつくばの山麓の「北条エリア」という場所は、江戸時代に筑波山参拝の門前町として栄え、筑波山神社に続く参詣道なんですよ。
それを北条の方から聞いた時に「筑波山神社(筑波山)まで行かなくては...」と言う気持ちが湧いてきたんです。

「つくばアートサイクルプロジェクト2021-2022」も、そのテーマで筑波山神社の方までアートを巡らせたんですよね。
なので、私の中では、一旦筑波山を登ったぞ。と言う気持ちではあります。(笑)

 

■アートをやる人も、見る人も、集まれる場所をつくばに。

・インタビュアー酒井
なるほど。
では、そのイベントが終わった後、
今年になって本日もお邪魔しているこの「gallery neo_ / Senshu」をつくば市に構えられたわけですが、
ここで、なにか仕掛けていきたいことはありますか?

・山中さん
これからは、もっとつくば市にお住まいの方々の日常に寄り添ったことがしたい思っています。

今までやってきたイベントのように、お祭り的なことも大事だとは思っていますが、
そうじゃない「日常」も大事だと思っていて。

今考えているのは、このギャラリーの目の前の「二の宮公園」で
「アートパーク」というアートイベントをやろうと思っているんです。

公園に散歩に来るような、このあたりに住んでいらっしゃる
つくばの住人の方に見てもらえるような展示を開きたいと考えています。

「こういうアートと関わりのある場所がつくばにもあるんだ」
とつくばの中の人が思ってもらえるようなことをやっていきたいんです。

・インタビュアー酒井
アートの地産地消のようなことを行いたいんですね。

・山中さん
はい。地産地消というより、つくばにもアートスポットがあるということを定着させたいで
す。
つくばって東京に出ていきやすい場所にあるから、
つくば出身のアーティストも東京に売り込みに行ってしまうんですよね。
発表の場所も東京のギャラリーを選ぶ方が多いんです。

ただ、実際につくばに住んでいる人たちが、東京までアートを見に行くか。といえば、
そういう方はなかなか多くないわけです。

一方で、この場所のようにつくばの中に展示できる場所があれば、
つくばの人たちがアーティストや、アートに触れる機会も増えるのではと考えています。

また、現在、つくば文化芸術審議会に市民委員として参加させていただいています。
つくば市では、小中学校の統合によって使わなくなってしまったつくば山麓の小学校の廃校活用として文化芸術創造拠点の計画を進めています。
アーティストインレジデンスや、展示が見れるスペース、ワークショップができたり、演劇や、身体表現ができる場など、さまざまなジャンルの方々が集まれる場所になれば良いな、と思います。

つくば市のためにアートでできることを考える機会をいただけたことは大変光栄ですし、たくさんの方々がアートに触れる場が計画できるとよりつくばが面白くなると考えています。

アートを通してつくばのために腹を括ってしっかりと取り組んでいこう思っています。

左・山中周子さん、右・インタビュアー酒井

(終わります。)

  • この記事を書いた人

酒井 公太

silkypeopleのウェブ担当であり、プランナー。 フリーランスでデザインや企業のプランニングをなりわいとしています。 田舎育ちの東京暮らし。只今、移住を真剣に検討中です。

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