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山を変えたいなら、まずは山に馴染む必要がある。【桐生】森林コンサルタント 武井沙織さんインタビュー 第四回

「森林コンサルタント」とは具体的に何をしているのでしょう?
武井さんにそんな質問をしてみると
「まずは森にいって森林の状態を見て、木の利用法方法を見て、地域の人とよく話すところから始めます。」

課題を発見する前に、まずは地元の人と信頼関係を作る為に「森の一員」になる努力から始める。

懐に入ることの大事さを誰よりも知っている武井さんが、
どのように仕事に取り組んでいるのかをお伺いしました。

→武井さんの記事一覧はこちら

森林コンサルタント 武井 沙織さんのプロフィール

青年海外協力隊で植林に携わり、帰国後に海外林業コンサルタンツ協会入社。

2021年、合同会社バリュー・フォレストを設立。前橋女子高―岩手大農学部卒。

→森と水と記憶

フクル木島さんのプロフィール

Silky Peopleの発起人であり、ブランドマネージャー。

桐生の縫製工場生まれ。

群馬県桐生市出身JYUNYA WATANABEチーフパタンナーに就任後、
イオントップバリュ㈱で衣料商品企画開発部のチーフクリエイティブデザイナーに就任。
2011年に個人事業主として起業。2014年、株式会社Huggyhuggy(ハギーハギー)設立。
2015年、株式会社フクルを設立。

環境にやさしい服作りについて日々模索中。

→フクルについて詳しく知りたい方はこちら。

→前回までの記事一覧はこちらから

森林の問題を解決するにはさまざまな人との信頼関係が大事。

武井さんの事務所は梅田の山の人の憩いの場にもなっている。

フクル木島さん:
武井さんの様に、森の方に自分から入っていく方は本当に貴重だと思います。
特に田舎の方になると「関係のない人間は入ってくるな。」という雰囲気が大いにありますし。

いくら問題を解決できる能力が高い方でも、
その土地の森林所有者の方から話を聞きたくないと思われたら何もさせてもらえませんからね。

武井さん:
本当にその通りなんですよ。

例えば、大手企業の名前を冠する「森林コンサルタント」は、
その土地や森林の課題分析と解決のための提案として「報告書」を書くところで終わっているんです。

結局、問題を解決するところまで見届けずに、契約満了してしまうんですね。

では、それで森の状況が良くなっているのかというと、そうではないわけで。

私が思うのは、その森の課題を解決するには、そこに住んで向き合わない分からない。と思うわけですね。
過去に行った海外での森林コンサルタントの経験を経て学んだ一番のことが、それですね。

インタビュアー酒井:
僕も今日都内から来たのですが、「森の問題」っていうと、
パッと思いつくのが、スギ花粉による花粉症問題くらい。

そのくらいしか、自分ごととして考えられないというか...。
森でなにが起きているのかは知ろうとしていませんからね。

武井さん:
私の場合は「地元の森」っていう部分も大きかったかもしれません。
誰も知らない土地ではなくて、知り合いがいるところから始められますから。

ゼロから始めようとすると本当に受け入れてもらえないんですよね。
そこも海外で経験していたからわかったことです。

今、私の周りでは様々な方が活動について理解して、協力してくださっているので非常に感謝してます。

 

地元の人に良い意味で頼っていきながらじゃないと、山を変えていくことはできない。

インタビュアー酒井:
先ほど同席いただいた生形さんの様に、森林活動に対して深く理解してくれる山主さんは結構いらっしゃるんですか?

武井さん:
それは...ほんとうに珍しいと思います。

フクル木島さん:
地元のことをよく知っている方が、活動を理解して協力してくれるのは本当に助かりますよね。
むしろ外部の人間が言えないことを言ってくれるわけですから。

インタビュアー酒井:
心強い仲間の一人なんですね。
そもそも一人で何とかしようとした時点で何もできないってことかもしれませんね。

武井さん:
私が今いる梅田は、もともとは林業をやってきた土地です。

大きな課題があるわけではないので、みなさん、それぞれ仕事していますし、何か新しいことを始めようと思っても、解決すべき課題が見えない状態だとできないんですよね。

今まで私自身コンサルタントとして課題を地元の人に伝えることはできたんですが、
解決のために土地の人たちに動いてもらうところまではできなかったんです。

だから、ここでやってみようかな。と思ったんですよね。
梅田の土地の方々のことを良く知った上で、その人たちが少しずつできる方法を考えていけると思ったんです。

インタビュアー酒井:
梅田の方々に
「武井さんの言うことだったら...」
という形で協力してもらえる様な形にしていくような感じでしょうか?

武井さん:
むしろ、「手伝ってあげないと大変なヤツがいる。」くらいに思ってもらえれば笑

私の今までの海外の知見を活かすということは二の次で、
「海外は知っているけど、この梅田の森のことはよくわかっていない人」
くらいに扱ってもらった方が良いですね。実際に現場の実務はまだ分かっていませんから。

「あの人は分かってないみたいだから、しょうがないから手伝ってあげようかな。」
みたいに、地元の方に接してもらえればありがたいです。

そうやって、地元の人に良い意味で頼っていきながらじゃないと、
山を変えていくことはできないと思うんです。

 

(続きます。)

  • この記事を書いた人

酒井 公太

silkypeopleのウェブ担当であり、プランナー。 フリーランスでデザインや企業のプランニングをなりわいとしています。 田舎育ちの東京暮らし。只今、移住を真剣に検討中です。

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