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「山の魅力をわかりやすく伝えるには?」【桐生】森林コンサルタント 武井さん・森林所有者 生形さんインタビュー 第三回

「山のことをしっかり考えるなら、山の方々との対話は必要だ。」

その思いを体現するために、桐生の梅田町に移住してきた武井さん。

真摯な態度に地元の林業関係者からは「有名人」と呼ばれています。

第三回目は、武井さんが考えている「山の魅力の伝え方」についてお伺いしていこうと思います。

 

森林コンサルタント 武井 沙織さんのプロフィール

青年海外協力隊で植林に携わり、帰国後に海外林業コンサルタンツ協会入社。

2021年、合同会社バリュー・フォレストを設立。前橋女子高―岩手大農学部卒。

→森と水と記憶

森林所有者 生形(うぶかた) 昇さんのプロフィール

生形精機・代表、桐生・梅田町の森林組合員。

桐生の山の頼れる生き字引的な存在。

フクル木島さんのプロフィール

Silky Peopleの発起人であり、ブランドマネージャー。

桐生の縫製工場生まれ。

群馬県桐生市出身JYUNYA WATANABEチーフパタンナーに就任後、
イオントップバリュ㈱で衣料商品企画開発部のチーフクリエイティブデザイナーに就任。
2011年に個人事業主として起業。2014年、株式会社Huggyhuggy(ハギーハギー)設立。
2015年、株式会社フクルを設立。

環境にやさしい服作りについて日々模索中。

→フクルについて詳しく知りたい方はこちら。

→前回までの記事一覧はこちらから

 

■林業にとって「材木」だけ売っていれば良い時代ではない。

木島さん

木島さん:
山間部ではないですが、
最近、都市部から桐生への移住者がじわじわと増えている傾向があるんです。

その方々の頭の中には、やはり少なからず
「都市部よりも、田舎が落ち着く」
「自然が感じられる土地が好き」
という考えもあると思うんですよね。

そういった方達に山の魅力を伝えていくことも大事かなと思うんです。

生形さん:
そういった桐生に移住してきた人たちって、なにがキッカケで桐生を選ぶんでしょうかね。

木島さん:
本当に色々だとはおもうんですが、私が知っている範囲だとやはり繊維業関係が多いイメージですね。
大学で繊維関係を学んで、桐生の企業に就職したり、
あとは、刺繍や機織り関係の仕事を探しに桐生に移住される若い方もいらっしゃるみたいですね。

生形さん:
やっぱり、桐生は繊維で有名だもんなぁ。
桐生の繊維はブランドがあるというか、信頼があるし。

木島さん:
若い方が増えた影響なのか、オシャレな飲食業のお店も少しずつ増えているイメージがあります。

そういった人たちに、武井さんが作っている山の幸を使った美味しいものを提案するって言うのもアリかもしれませんね。

山で取れたゆずを使って作られた「ゆず羊羹」香りが鮮烈!

山で取れた山椒の葉をドライ化した「パリパリ山椒」。食べる森林浴。

生形さん:
そうだなぁ。
確かに「木を売る」って言うのは、昔に比べると大変な時代になってきたしなぁ。

最近だと新築を建てるから木を売ってくれって言うのでも、
「柱だけ」みたいな注文が多くなってきたし。
木をたくさん使って家を建てようって言う時代でもないんだよ。

武井さん:
「切った木をどうやって使ってもらえるのか」まで見えていないと、林業はうまくいかないんですよね。

■これからの林業に必要なのは「予算」と「コンセプト」

武井さん

 

武井さん:
あとは「林業をやりたい」と思っている人に来てもらいやすい環境をつくるのも大事ですよね。
私が今住んでいるこの桐生の山だとインフラがしっかりしていないんですよ。

上下水道や公共交通機関などしっかり通っている必要があると思うんですよね。

インフラの課題は行政と今後の山での事業の可能性も絡めながら、
しっかり話合っていく必要はあると思うんですよね。

 

インタビュアー酒井:
そういえば、東京の山にも「東京チェンソーズ」という林業の方々がいて、そこは割と成功しているように見えますが...。

武井さん:
東京チェンソーズさんの成功の裏には、
東京の花粉対策の林業再生予算が非常にふんだんにあったことも関係していると言われています。

要するに、花粉の原因になる木を切って植え直すという仕事を、東京都から彼らにたくさん発注できる状況が揃っていた。つまり林業に対する予算が行政として確保できたということだと思います。

そんな感じで大きい予算を持っている自治体なら可能なんですが、税収が少ない他の自治体だとこれをするのは非常に難しいと思うんです。

木島さん:
桐生にそう言った予算が降りてくる可能性はないんですか?

武井さん:
実は国全体としても、上で触れたような花粉対策は国策として進めているんです。
ただその予算が各自治体へ降りたとしても問題があって、例えば、桐生でいうと市役所内に森林林業の専門家がいないんですよね。

そうなると、森林組合にこの課題を丸投げしてしまう。
もちろん東京チェンソーズのように、林業に若くて熱意のある方が、たくさん桐生にくればいいんですけどね...。

桐生の梅田の山は入っていくには斜面もきついですし、かなり林業としての難易度は高めなんです。
長年林業に携わっている方でないと、作業は危険なんですよね。

そりたつような山が並ぶ桐生・梅田町

 

生形さん:
確かに梅田の周辺の山は、基本は急斜面の山ばかりだよなぁ。
作業を楽にするための高性能林業機械も導入されてるんだけどさ、傾斜がきつい所ではどうしても危険が多くなるしな。

生形さん

武井さん:
とは言っても、それ以前にやっぱり東京チェンソーズさんはコンセプトもしっかりしていますし、そこは共感できるところなんです。

林業というとどうしても「木を切って売る」というところばかりが強調されがちなんですが、
彼らは、
「木を切った後に、次の木を植えて育てていく」というところも見せているんです。

「山を大切に育て、山と暮らす」ということをものすごくわかりやすく表現されていると思うんです。

そういうことは今後の林業にとって大事だと私も思っているんですよね。

(続きます。)

  • この記事を書いた人

酒井 公太

silkypeopleのウェブ担当であり、プランナー。 フリーランスでデザインや企業のプランニングをなりわいとしています。 田舎育ちの東京暮らし。只今、移住を真剣に検討中です。

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