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【桐生 香雲堂 小泉慶太さん】第三回 「あんこ」が気づかせてくれた「自分らしさ」の出し方。

京都の老舗和菓子屋「末富」で5年間修行を詰み、桐生に戻って来た小泉さん。

ただ、桐生での職人生活が最初から順調だったかというと、全くそんなことはなかった様です。
京都の名店で働いてきたというプライドが、むしろ自分の和菓子作りをダメにしてしまう。

その状態を打開してくれたのは、かつて苦手だった「あんこ」を作ることだったのです。

第三回目は、小泉さんが「自分らしさ」の出し方に気づくまでのお話です。

 

桐生 香雲堂 小泉慶太さんのプロフィール

創業1965年の老舗和菓子屋『香雲堂』の3代目。
京都の老舗「末富」で修行後、家業を継ぐために桐生へ。
大学進学後に茶道研究部へ入部し、そこでの縁で本格的に和菓子の道へ進むことを決意する。
高校時代まではラグビー部に所属していたという意外な一面も。

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美味しいあんこを作るため、手がかりを一つずつ見つけていく日々。

インタビュアー酒井:
今はひたすらに、自分のあんこ作りを追求していく日々なんですね。

香雲堂 小泉さん:
はい。
あんこ作りに集中することで、やることがシンプルになりました。
それでも、やっぱり上手くいく日と行かない日、波はあります。

火加減を変えてみたり、練りを変えてみたり、材料の分量を変えてみたり...

あんこ作りは、手がかりがない部分が多いので、
その「手がかり」を一つずつ見つけていって、均一に美味しいあんこを作ろうとしています。

インタビュアー酒井:
小泉さんが思う「おいしいあんこ」の特徴ってなんですか?

香雲堂 小泉さん:
あんこの「香り」ですかね。

例えば浅草の亀十さんのどら焼きの粒あんは、
本当に香りが良くて、おいしいあんこなんですよ。

どら焼きの皮が特徴的なので、そちらに目が行きがちなんですが、
あのあんこは本当に美味しいです。

ああいった香りのあんこをまだ僕は炊くことができないので、
そこについては研究している形ですね。

参照:東京新聞 webより

インタビュアー酒井:
やはり他のお店の味から学ぶことは大きいんですね。

香雲堂 小泉さん:
はい。
外からの刺激がないと、自分の成長も止まってしまうんです。

インタビュアー酒井:
その様な美味しい和菓子の情報って、どの様に仕入れるんですか?

香雲堂 小泉さん:
毎年8月に「八月朔日」(通称・八朔)という日ごろの感謝を伝える伝統行事があって、
そこで京都へ出向いた時に、色々自分で調べて買って食べるということをしてます。

インタビュアー酒井:
自分の世界を広げている最中なんですね。

香雲堂 小泉さん:
自分はまだ本当に井の中の蛙で...。
世の中にはいわゆる「和菓子作家」のようなクリエイターのような職人がたくさんいますから。

でも、独創的なことが自分はしたいか。というと逆で。

それよりお客様からもらった注文やアイデアをしっかりと形にして、お返しする。
そんなスタンスで仕事をしていきたいと考えています。

 

お客様の期待に応えることで、自分も鍛えられる。

持ち込みの「ゆず果汁」から生まれたゆず羊羹。

インタビュアー酒井:
お客様からアイデアを頂くというのは、どの様な形が多いんですか?

香雲堂 小泉さん:
言葉で伝えていただくことが多いですね。

例えば、6月に開かれるお茶席用のお菓子なら、
「水だよね」とか「青い色を使って良いですか?」
みたいな言葉のやり取りをして作っていきます。

あとは、お客様から材料をお預かりすることもありますね。
この前も「ゆず果汁」を預かって、それを羊羹にしてお返ししたりとか。

他にも「桑茶」とか「酒粕」とか「クリームチーズ」とか...

自分の頭の中にない発想をお客様から頂くことで、
新しいお菓子を作ることが出来るんです。

インタビュアー酒井:
「クリームチーズ」...結構難しそうですが...。

香雲堂 小泉さん:
そうですね。
かなり試行錯誤して作ることが多いです。
ただ、
お客様の要望に対して「できない」と言ってしまうと、そこで終わってしまうので。
もらったアイデアに対して断らずにお返しすることで、自分自身もだいぶ鍛えられましたね。

(続きます。)

  • この記事を書いた人

酒井 公太

silkypeopleのウェブ担当であり、プランナー。 フリーランスでデザインや企業のプランニングをなりわいとしています。 田舎育ちの東京暮らし。只今、移住を真剣に検討中です。

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