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香り立つ夕暮れ

二十四節気の寒露に入りました。

秋が来たかと思えば、冬のような寒さが来て、そしてまた戻る日差し。

なんとも複雑なややこしい季節ですね。

もう一度眺めに行こうと思っていた公園の金木犀

数日続いた雨で、見事に散ってしまいました。

 

金木犀と記憶

少し前でしたが、娘と公園に散歩に出かけた時に

ふゎっと鼻をかすめる金木犀の香り

秋だなと感じました。

そして、懐かしい過去を思い出しました。

 

中学校3年。

色々な事情から第1希望の高校を諦め、志望校を変え、

絶望的な気持ちでとりあえず受験勉強をする為、学校から図書館まで

ぼんやりと歩く夕暮れ。

どこからともなく香り立つ金木犀の香りに心揺さぶられた記憶があります。

決して前向きな過去ではないのですが、金木犀の香りに触れると

あのモヤモヤとしたはがゆい気持ちを思い出します。

特定のにおいが、それに結びつく記憶や感情を呼び起こす現象は、プルースト効果と名づけられているそうです。

フランスの作家マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』という小説の中で、

主人公がマドレーヌを紅茶に浸した際、その香りで幼少時代を思い出す場面があり、

その描写が元になっているそうです。

嗅覚は五感の中で唯一、嗅細胞、嗅球を介して、

本能的な行動や喜怒哀楽などの感情を司る大脳辺縁系に直接つながっているので、

より情動と関連づけしやすいためと言われています。

冗談のような話ですが、香りと記憶は結びつきがあるようです。

香りによって思い出される記憶。皆様はありませんか?

 

 

くまのくり

秋はおいしい。

とにかくおしいものが沢山。

近所の稲は大分刈り取られました。

新米も出回り始め、栗や南瓜、さつま芋など

土から生まれた宝物達。とにかくおいしい。

収穫に感謝したお月見を思い出します。

さて、先日、母の実家家族(新潟)から荷物が届きました。

そのうちのひとつ。山栗。

山の中に自生している栗で小粒なのですが、香りもよく美味しいです。

近郊で採れる栗は大振りなものばかりなので、山栗は約半分位の大きさです。

茹でた栗を食べながら。

母曰く「冬眠するのにこんな小さい栗じゃ熊もかわいそうに」

?!え。栗を見て熊の心配?!

育った環境によってモノの見方は随分違うのなだなと。改めて感じました。

山の栗は人間のものでもなく、動物のものでもなく、皆のものなんだと。

 

母の実家の方では熊が出たという話はここ数年増えています。

猛暑しかり、食料が少なくなりつつあり、山の下の方まで熊が食料を求めに来ています。

人が都市部にながれ、集落も減り。

山が荒れ、熊や猿、猪などが山の下にまで現れ。

獣が山に降りれば殺される世の中です。

画面の向こうの話ではない現実の話です。

 

たかが栗。されど栗。

秋はおいしい。おいしさの裏側に思いを馳せて。

最後に

空が高く。影は伸びる。

秋ですね。

今年も残り2カ月半・・・。

 

 

今回もコラムをお読みいただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人

mikko

洋服に関わる仕事をあれこれしたのち、子を授かり現在に至る。 生活環境の変化を機に、倦厭していた土いじりやお菓子作りが生活の潤いになっていることに本人も驚いている。

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