お客様の一見難しそうな要望にきちんと応えることで、職人としての経験値を積んでいく小泉さん。
第四回目では、そんな小泉さんの職人気質を表している「和菓子作りの道具」と「大事な人へのお土産」についての話をピックアップ。
美味しい和菓子を作る人は、つねに美味しさへの準備を怠らないという姿勢。
良いモノを作るためのヒントが散りばめられていました。
桐生 香雲堂 小泉慶太さんのプロフィール
創業1965年の老舗和菓子屋『香雲堂』の3代目。
京都の老舗「末富」で修行後、家業を継ぐために桐生へ。
大学進学後に茶道研究部へ入部し、そこでの縁で本格的に和菓子の道へ進むことを決意する。
高校時代まではラグビー部に所属していたという意外な一面も。
フクル木島さんのプロフィール
Silky Peopleの発起人であり、ブランドマネージャー。
桐生の縫製工場生まれ。
群馬県桐生市出身JYUNYA WATANABEチーフパタンナーに就任後、
イオントップバリュ㈱で衣料商品企画開発部のチーフクリエイティブデザイナーに就任。
2011年に個人事業主として起業。2014年、株式会社Huggyhuggy(ハギーハギー)設立。
2015年、株式会社フクルを設立。
環境にやさしい服作りについて日々模索中。
和菓子を作るための道具も、自分の「手」で作っている。
インタビュアー酒井:
和菓子作りの道具で思い入れのあるものはありますか?
香雲堂 小泉さん:
和菓子はかなりシンプルな道具で作っているんですよ。
ちょっと持って来ますね。(と、奥に取りにいってくださる。)
代表的なものはこれですね。
この鍋は修行先で使われていたものを参考に、京都の道具屋さんで特注で作っていただいたものです。
鍋の柄は、そこらへんに落ちていた栗の木の枝を自分で削って作りました。
この鍋で、あんこも練りますし、飴細工用の飴も作りますし、本当にずっと使っていますね。
もう10年以上は使っています。
あとは、この「宮島のしゃもじ」ですね。
ここのしゃもじは、硬い良い木で出来ているので、力を入れても曲らないんですよ。
これは、僕が末富での修行中に見つけてきたものなんです。
逆に、修行後に末富の方から
「あのしゃもじはどこで買えるんだ。」
と桐生にまで電話がかかって来たので、そこはちょっと誇らしい気持ちになりました笑
あと、この「竹のお箸」は自分で削って作っていますね。
これらの道具を使って、やはり自分の「手」で和菓子を作っているという感覚はありますね。
インタビュアー酒井:
まさに全部が「手」作りなんですねぇ。
美味しいものを食べた時の感動を、もっと大事にしていきたい。
インタビュアー酒井:
最後に...
小泉さんのお世話になっている方に贈り物をするとしたら、
どの様なものを持っていきますか。
普段は香雲堂でお作りになられているお菓子を持っていくことが多いと思うので、
それ以外で何かあれば教えていただきたいのですが...。
香雲堂 小泉さん:
それ以外となると...
実は、これから人に渡したいなと思っていたものがあったんですよ。
それが塩辛なんですよね。
インタビュアー酒井:
塩辛!
香雲堂 小泉さん:
僕が修行で北海道に行っている時に、催事でお世話になった方が教えて下さった
「はこだて浪漫館」の「いかの塩辛」ですね。
値段もそんなに高くないのですが、本当にものすごい美味しくて。
これがあれば、ご飯3合は食べられますね。
今でもこの塩辛を食べると、初めて食べた時の感動をありありと思い出せます。
こういう感覚って大事にしていこうと思っているんですよ。
フクル木島:
「感動」を思い出せる食べ物っていいですね!
香雲堂 小泉さん:
本当に美味しすぎて。
しかも、はこだて浪漫館さんが気を利かせてくれて、
この間はサービスで「いかめんたい」を一瓶つけてくれて...
それがまたびっくりするくらい美味しいんですよ。
実は、特別な茶席だったりすると、
お茶やお菓子だけでなくて、食事やお酒も出ることもあるんです。
そういった時に、このような珍味をお持ちするのもありかなって思ったんです。
北海道でのエピソードも一緒に添えてお渡しできたらいいなと。
お客様からも、そのような特別な茶席に面白いものがないか。って求められるんですよね。
インタビュアー酒井:
お客様に求められたものは、常に断らないって精神が、ここにも出てくるんですね。
(終わります。)