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【桐生 香雲堂 小泉慶太さん】第二回 和菓子を取り巻く京都の人間模様が面白くて仕方なかった。

大学の茶道部の先生との縁もあって、
なんとか京都の老舗「末富」で修行ができることになった『香雲堂』の3代目・小泉慶太さん。

修行一番興味深かったことをお伺いすると、「京都での和菓子を取り巻く人間模様」だそう。

京都の老舗のが持つ「お客様を大事にする」という心の持ち方・文化をどの様に会得していったのか。

第二回目は、小泉さんの京都修行時代のお話です。

 

桐生 香雲堂 小泉慶太さんのプロフィール

創業1965年の老舗和菓子屋『香雲堂』の3代目。
京都の老舗「末富」で修行後、家業を継ぐために桐生へ。
大学進学後に茶道研究部へ入部し、そこでの縁で本格的に和菓子の道へ進むことを決意する。
高校時代まではラグビー部に所属していたという意外な一面も。

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和菓子を取り巻く文化を、まるごと教わった京都「末富」での修行時代。

インタビュアー酒井:
京都の老舗和菓子屋「末富」での修行の5年間どのようなものだったんですか。

香雲堂 小泉さん:
最初の2年間は和菓子の工場に入れてもらえませんでした。
表の仕事を覚えなさいって言われましたね。

「表の仕事」は、具体的に言うと「接客」「配達」みたいなことです。

修行の最初の2年間は朝の5時に出勤して、工場の掃除や洗い物をやって、
職人さんが来たら、すぐに作業してもらえる段取りをつけておくということをしていました。

それで、朝の8時には工場から出されて、配達を始めるような感じでした。

インタビュアー酒井:
修行は、お店のお得意様の顔を覚えていくところから始めるんですね。

香雲堂 小泉さん:
そうですね。
お菓子は作ることだけが大事ではなくて、どうやって売れていくのか。

そのことを配達や包装、電話対応などの接客を通して覚えていきなさい。
ということだったと思います。

特に「末富」はお茶会で扱う様な主菓子を作るようなお店だったので、
和菓子をとりまく四季折々の流れが見えたと言うか。

例えば、
6月だったら「水無月」という三角形のお菓子があるんですけど、
それをお得意先に配るという行事があるんですね。

お寺からお茶の先生まで...場所も京都だけではなくて、大阪や奈良まで。

配ると言うのも「販売」ではなくて、お得意様への「お礼」として渡しに行くんですよね。

年初から半年までの穢れを祓うためにお菓子を持っていって、
「もう半年、元気に過ごせますように。」
という想いを持って配るんです。

あとは「ちまき」もそうですね。
5月5日の端午の節句にあわせて5月4日は笹の葉を一日中煮て、
笹の匂いの中で作業をしたりとか。

「ちまきすぎて、手に笹の香りがうつるんです。」

年末の12月30日にも、お正月用に「花びら餅」を作ってましたね。

1日で5000個仕込むんですよ。
その時には独立した兄弟子も手伝いに来てくれたりして、
総出でやっていましたね。

そうやって出来たお菓子を運ぶ役目を、修行の最初のうちは任されるわけですが、
お茶席に運ぶ時には「菓子盛り」という仕事を兼ねることもあるんです。

朝9時から夕方の4時くらいまで、ずっとお茶席のためにお菓子を盛り続けるんです。

お茶席ではどのようにお菓子が食べられているのか。
お菓子を出すタイミングや種類、
あとはお菓子を良い状態に保つための工夫など、そこで学ばせてもらいましたね。

お茶席で使われている道具も、普段、美術館で見るようなものなどもあって、
それも勉強になりました。

インタビュアー酒井:
商品がどの様な世界で使われているのか、現場で目の当たりにできるんですね。

香雲堂 小泉さん:
お茶席以外にも、京都の花街などにもお菓子を運んでいましたし、
実はお菓子作り以外でも、お得意様のお寺さんの「お線香」を売るのを手伝ったりもするんですよ。

お参りの時期が来るとお寺さんも忙しいので、
お寺と関係のある職業の方々がお手伝いに集まってくるんですね。

僕がお手伝いに行った時は、お線香屋さんと法衣屋さんと一緒にお線香を売っていました。
そこでまたお話をして、縁ができたりするんですね。

末富では「お菓子作り」だけでなく、
京都のことやお菓子を取り巻く「人間的なこと」をよく知る機会がもらえたと思います。
そう言うのが本当に面白かったんです。

インタビュアー酒井:
修行を通して京都の文化をまるごと教えてくれる感じなんですね。すごいなぁ。

 

(続きます。)

  • この記事を書いた人

酒井 公太

silkypeopleのウェブ担当であり、プランナー。 フリーランスでデザインや企業のプランニングをなりわいとしています。 田舎育ちの東京暮らし。只今、移住を真剣に検討中です。

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