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コラム

麦嵐 むぎあらし

刈り取りを待つ麦畑は、いちめん黄金色。

そんな時期に麦の穂を揺らし、吹き渡っていく風を麦嵐、

また、このころ降る雨のことを麦雨(ばくう)と呼ぶそう。

なんとも美しい光景です。

 

さて、田植えが落ち着いたかと思えば、

麦を刈り取るコンバインが走り、

刈った麦を積む軽トラックがあちらこちらに。

そうこうしているうちに、煙がもろもろとあがり・・・。

季節の風物詩です。

 

がしかし、季節の風物詩などと呑気な事を云えない時代になってきたとも感じます。

 

農業の野焼きは違法ではありませんが、

地域によってはその煙を問題視し、燃やす以外の方法など、

様々な対策が行われているようです。

煙たがられる野焼きですが、土壌管理や病害虫の駆除の為に行われています。

勿論、燃焼時には環境負荷のあるCO₂(二酸化炭素)やCH₄(メタン)、

N₂O(一酸化窒素)などが発生します。

しかし、環境省の資料では、実はこの20~30年で、それらの数値はほぼ右肩下がり、

穀物の種類によってはほぼ半減しています。

減少理由は明白です。日本の人口減に伴い、農業人口が減少しているからです。

理由は他にも諸々あると思います。

 

農業人口が減り、食料自給率は落ち込み、輸入に頼る昨今。

それと比例するように、つど都度持ち上がる様々な苦情。

農業や畜産、場合によっては林業や漁業など、第一次産業に対する風当たりが強いように感じます。

やれ、煙が臭い。やれ、家畜が臭い。

自然の恩恵を受けて暮らしているのにな、と。

自分自身もそうですが、便利さや豊かさにどっぷり浸かり、

外部に対しての許容範囲が狭くなっているのかも知れません。

都合の悪い所は、知らない。見たくない。

可視化されないグローバル・サウスの問題も野焼きの煙と繋がっているように思います。

「SDGs」という言葉がもてはやされ、流行語のよように扱われ、

何か大事なものを見落としているような気がします。

 

黄金色のむぎあらし。

いつかは見られなくなってしまう日がやってくるのかも知れません。

 

最後に。

いよいよ梅雨の足音が聴こえてきたかな。

と感じる香りはただひとつ。クリの花。

散歩にいけば、ぐんぐん伸びるタチアオイ。

このセット。自分にとってはこの季節の代名詞。

皆さんにとっての季節の代名詞はどんなものですか?

 

 

 

最後までコラムをお読みいただきありがとうございます。

 

 

  • この記事を書いた人

mikko

洋服に関わる仕事をあれこれしたのち、子を授かり現在に至る。 生活環境の変化を機に、倦厭していた土いじりやお菓子作りが生活の潤いになっていることに本人も驚いている。

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